山本二三

しばらく文章を書かない生活をしていると、何を書きたかったか忘れてしまって、どんどん書こうと思ったものが遠ざかってしまう。文章の書き方もいまひとつ思い出せないというか、書きたいことをうまく表現できないようになっている気がする。


先日夫と、山本二三展を見に行った。

もののけ姫のあの黒い鏡面になった水面や、水に浸かった苔や水草、土、日本の山。それに、観に行った時には気づかなかったけど(主人公にいらいらしたことぐらいしか覚えていない)時かけの背景がものすごくきれいだった。時かけの方は建物や教室の室内なんかもあるから、人工物特有の反射や、それにエッジのかりっとした線がとても良かった。
人間のアナログな仕事は美しいなあと思う。

昔読んだ小説で、PCの音が人間の奏でる音楽とまったく同じになっても、それでも人の手によるものを好むだろうと登場人物が言うシーンがあった。そのことを思い出す。

定規を使ってもコンピュータ、もっといえばモニタの中にある直線ほどには直線でないのがアナログだ。筆で描いたものが不定なにじみや色の広がりを見せ、筆致のランダムさが残る。
と、今は思う。
今でさえ描法によっては見分けのつきにくい絵があるから、将来的にはもっと分からなくなるんだろうなあ。
ずっと見分けのつけばいいなと思う反面、それはやっぱり難しいだろうなとも思う。よりリアルに、と技術が追い求められるだろうから。

しかし、あれだけ描ける人でもパースが狂っていたりすることがあって(アニメ用のデフォルメではない箇所のように思った)なんだかそこが安心させられる。不思議なものだ。

 

受験生だった頃にもよく思ったけど、描ける人はどんなふうに世界が見えているんだろうか。私とは違う諧調で、より立体感をもって見ているような気がする。

 

ネタに走らない、人に見せてあわよくば面白がってもらおうという意図のない日記は、ちょっとつまらんな。ミクシィは面白かった、若くて痛々しかったけど。