なんでもない今日を生きていく、あたしらしく明日を生きていく

LIONのCMで、松崎しげるの「愛のメモリー」の替え歌を使ったものがある。

「企業広告【働く女性への応援歌】」
http://www.lion.co.jp/ja/products/cm/corporate/making/03.php

とてもいいCMだと思う。初見で素直にそう思い、なんともいえない感慨が胸に広がった。


女性の社会参画、昇進、出産や介護で休みを取りながらも働き続けることに、今はまだ問題が多い。男性社会から男女共存社会への道の中で生まれる軋轢を感じる。男性に問題がある場合も、女性に問題がある場合もあるけれど、男が悪い・女が悪いと互いに言い立てあって軋轢は根強く残っている。

しかし、軋轢は個々人に向かい合い、背景を理解して話を聞いたなら、ほとんどの場合解消する、あるいは軽くなると私は思う。
このCMは、社会は事情をそれぞれ抱えた一人ずつで成り立っていて、それぞれが喜びや疲れ、感慨を持ちながら毎日を生きているということを感じさせてくれる。家庭状況や財布の事情、性格や仕事の忙しさや恋路のあれこれを知っている自分の友人を「頑張れ!」と応援したくなる気持ちを、思い出させてくれるのだ。


ネットの匿名の意見では、たくさんの人をまとめて「女」とすると生まれる「ずるい」という思いや憎しみが溢れているように感じられる(男に対しても見かけるけれど、私が女なので割愛する。男性同様に感じることはできないので、とんちんかんになりそうだから)。
そんな人も、このCMを見て、知っている誰かのことを連想して感慨を持ったりしてくれたらいいなと、そう思った。


このCMを見て感じたことがもう一つある。
女性と男性は絶対的に違うということだ。
吊り革につかまって電車に揺られる女性にはけなげさを、座席で隣の男性に寄りかかられる女性には疲れを、帰宅後に歯磨きをする女性にはメイクという武装を解いた放心を感じた。
女性は装うことで鎧をまとうが、それによって疲れもする。男性にはないもので(良い悪いはない)それがこのCMをよりディテール感あふれるものにしていた。

 

 染み入るようなCM、ちょくちょくあるよな。
JTの「遊ンデイルヨウデ、祈ッテイル」とか、Amazonのライオンたてがみの犬のとか。iWatchの、セリフがないCMもいい。そういうのだけ集めたブルーレイがあったら欲しいなあ。